【扁平上皮癌との闘病日記】よく頑張ったね

2018年4月12日0時35分頃、福ちゃんが息を引き取った。

今日13日は福ちゃんの誕生日。15歳まで生きて欲しかったけど、充分頑張ってくれたよ。これからはようやく、苦しまずに済むね。ありがとう、福ちゃん。

一昨日は実家に帰っていた僕。疲れがかなり溜まっていた為、辛うじてご飯を食べ、その後少し休憩するだけのつもりでベッドに横になった。そしたらいつの間にか、母が点滴の道具を取りに僕の部屋に入ってくるまで意識が飛んでしまっていた。おっと、寝てしまっては僕が来た意味がない。無理矢理身体を起こして、母と一緒に点滴の準備。これが大体0時前だったかな。いつもの様に点滴を行う。だいぶ慣れて来た。例によって、福ちゃんは身体をよじる。点滴で首の皮が膨らんで伸びることにより、気道が狭くなるのだろうか。何故かよく分からないが、とにかくいつも少し苦しそうな素振りを見せる。ただ、しばらくしたら落ち着くことか分かっていたので、いつものようにそのまま規定の量の点滴をやり切った。しかし、今思うと苦しみ方がいつもとは若干違った気がする。両手足をバタバタさせ、頭だけ仰向けになり、口を大きく開け苦しそうな呼吸を繰り返す。でも、それも一旦落ち着いた様に見えたので、僕は急いでシャワーを浴びに行くことにした。

ただこれは、完全に僕の判断ミス。しばらくして、母に激しく風呂場の扉を叩かれた。福ちゃんがかなり苦しそうだとのこと。僕は服を着て、急いで福ちゃんの元へ向かう。父親も寝室から起きて来て、母と僕とで3人で福ちゃんを見守っていた。

動揺していてあまり細かくは覚えていないが、最期の瞬間だけは鮮明に頭に残っている。何度か鳴いた後、大きな呼吸を一回……3テンポほど置いてまた一回……その後は、もうお腹が膨らまなかった。この時点で、父が泣き出す。ただ、心臓は暫く動いているように見えて、死んでしまったのかそうでないのか、僕にはなかなか判断が付かなかった。最期の呼吸から10分ほど経ち、僕はようやく福ちゃんの死を認識した。

あぁ、死んでしまった…だけど、これでようやく楽になれたね。頑張ったね。と、まず湧いて来たのは、正直少しホッとしたという気持ち。かなり悪い状態が長く続いていたため、見た目には死んでしまった時とのギャップが殆ど無かったからかもしれないな。

とりあえず、闘病中ボロボロになった身体をウェットティッシュで入念に拭いてやった。最期苦しんだ時に、少しウンチも出ていたね。お尻は、母が綺麗に拭いてくれた。目や口や鼻の膿の塊も、全部手で取ってやった。猫って本来綺麗好きなのに、ずっとこんな状態にしてしまっていて本当にごめんよ。まぁ、触ると痛がるし、血も出るし…。生きてる間はどうしようも出来なかったんだけどさ…。

ペットシーツを換えて体制を整え、毛布を掛け直し、最後に花瓶に挿してあったカーネーションの花を身体に添えてやった。

僕はシャワーの途中だったので、お風呂場に戻る。時間も遅いし明日も仕事だから、早く上がれるようただただ淡々と体を洗うよう努めたが、お風呂場ってあれだね。つい考え事をしてしまう…

福ちゃんのことを考え出したら、一気に涙が溢れて来た。結局、シャワー中はずっと泣いていた。

シャワーを終た後、福ちゃんの葬儀について調べた。彼女の猫ちゃんが亡くなった際、お世話になった葬儀屋さんがとても親切で良かったと言っていたので、福ちゃんも同じところにお願いする事にした。こういうのってどうしても、生きている間に準備出来ないからな。だからバタバタしてしまいがちだが、今回は彼女にペット葬儀の経験があった事で、スムーズに決める事が出来た。また、その葬儀屋さんは24時間電話受付可とのことだったが、深夜に電話を掛けるのはなんとなく憚られ、朝出勤前に掛けたんだけど、何度掛けてもまったく繋がらず。。結局始業時刻までに予約が出来ず、仕事が休みの彼女にお願いする形になった。本当に助かった。ありがとう。父も母も弟も、こういうの全然出来ないからさ…

葬儀屋さんのHPに書いてあった、死後の処置の手順に倣い、福ちゃんの身体にタオルに巻いた保冷剤を添えてやり、身体を小さく丸めてあげた。暫くは僕と福ちゃんの2人きり。感謝の思いと、愛している事を改めて沢山伝えた。

2時30分過ぎに、母から福ちゃんが亡くなったと知らせを受けた弟が帰ってきた。弟は、福ちゃんを見るなり涙を流した。あんまり可愛がっていなかったように見えて、ちゃんと可愛いがってくれていたんだな。なんか嬉しかった。つられて、僕もまた泣いてしまったよ。

思えば、福ちゃんの足腰が弱くなって来て、お気に入りの押入れに登るのがままならなくなって来た時、低い段差を手前に一段設けてやったり、闘病中に福ちゃんが入っていた猫ハウスの床が固いのに気付き、厚めのクッションを挟んでくれたりと、僕も気付かない細かいところで福ちゃんを思い遣る気持ちが垣間見えていたもんな。

少し落ち着いて、今度は福ちゃんの遺影にする写真を探すため、弟と福ちゃんの写真や動画の見せ合いをした。僕が持っていない、昔の写真をいくつか貰った。昔の写真、持ってないんだよな…全部前のケータイにそれぞれ入ってはいるけど。充電したら、電源付いてくれるかな。。

結局、寝たのは4時頃。この日は福ちゃんと一緒に寝られる最後の日だったので、僕のベッドの枕元に乗せて一緒に寝た。硬直しちゃってるから難しかったけど、本当は抱きしめて寝たかったよ。

昨年の暮れから本当に大変だったけど、よくここまで頑張って生き延びてくれた。扁平上皮癌って、顔の組織がどんどん破壊されていく病気だから相当痛かったろう。言い方は悪いけど、恐らく自分が徐々にゾンビ化していくような感じなんだろう。福ちゃんは、僕らの想像を絶する痛みや苦しみを感じていたのだと思う。僕も、毎週来るたびにどんどん顔が溶けていく福ちゃんが本当に不憫で不憫でしょうがなくて…。福ちゃんも苦しかったと思うけど、僕らも辛かったよ。

でもありがとう。福ちゃんの闘病生活を通して、僕は改めて沢山愛について学べた気がする。福ちゃんが僕に教えてくれた一番大きなものは、紛れもなく「愛」だ。福ちゃんの約15年間の猫生を通して、僕は沢山愛について教えてもらった。これはきっと、僕のかけがえのない財産になる。

福ちゃん、今まで本当にありがとう。長くなったので、お葬式の話は、また次の記事で書くね。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加